冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
面食らったように声を詰まらせたダルトンさん。
その時、控え室に看護師の女性が顔を出す。
「ランシュアさま、エルネス大臣からお電話が入っております」
「エルネス大臣から?一体なんと?」
「それが、城下町の住民が城に押し寄せているとおっしゃっていて」
まさか、出生を知った人々が暴徒化したのか?
出て行こうとしたアスランが表情を険しくすると、彼女は興奮交じりに続けた。
「レウル陛下への見舞い品を持ってくる方が後を絶たず、どう案内すれば良いか困っているそうです。地方から寄付金を送る方々もいるようで」
「な、なんだと!?」
声を上げたのはダルトンさんだ。
計画とは真逆の未来へと進む現実に動揺が隠しきれないらしい。私でさえ、電話の内容に耳を疑う。
そんなまさか。
反感を持つどころか、皆、レウル様の回復を願っているというの?
この記事が出て、真実を知ったはずなのに。
「残念だったな、ダルトン」
はっ!として声の方を見ると、翠の瞳をキツく細めたドレイクさんが低く言った。
「アンタがくだらない欲のために時間を割いている間、あの方が築き上げてきたものを甘く見るな」