冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
『俺は王だから、かりそめの王だからこそ、民の理想でなければならない』
『……でも、もしも人々が血筋だとか出生だとか関係なくレウル=クロウィド自身を王として認めてくれたら、俺はもっと自由になれるのかもしれないな』
ようやく、その望みが叶うんです。
努力してきた結果が身を結んで、過去のしがらみから解き放たれて自由になれるんです。
だから、早く目を覚まして。
伝えたい話がたくさんあります。
やっと自覚した自分の気持ち。
かりそめの妃では我慢できないほど、あなたが好きです。
側にいたいと思ったのも、支えてあげたいと思ったのも、全部あなたに惹かれていたから。
強くあろうとするあまり自分さえも傷つけてきた青い薔薇の刺を、どんな痛みがあろうと受け入れて、優しく抱きしめてあげたいのです。
「……お願いだから、帰ってきて……」
骨ばった指を両手で包み込み、冷えた手に必死で体温を移す。
面会時間を過ぎるまで、ベッドサイドでレウル様の手を握り続けた。