その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「だから何でしょう?」
健太郎はフッと鼻で笑った。
だから何?という切り返しが滑稽極まりなく思えてしまう。
「あなたが純粋に脇田に借りたお金は300万、でも今請求されているお金は?
タキワ・カンパニーはイベント会社として表向きは看板を出してますが、中身は闇金業、人身売買、違法薬物取引、僕が調べただけでも非合法なものばかりです。
あなたの借金も法外な金利で貸し付けをしている。
返しても返しても減るどころか、増える一方。
そうやって、あなた達をがんじがらめに洗脳して部下として汚い事をさせている」
加賀谷はアイスコーヒーをストローでかき混ぜながら、小さく息を吐いた。
そして、真っすぐな視線を健太郎に向ける。
「そんな状況の中で、俺はえりかを救った。
えりかは上海から来た時からずっと、全てが特別扱いだった。
そのせいか、ずっと囚われの身にしては素直で擦れてなくて、そういうえりかをオーナーもとても大切にしていた。
いわゆる売春、買春、そんな低俗な事は絶対にえりかにはさせない。
えりかの身体は綺麗なまま、というのがオーナーの自慢だったからね。
その代わり束縛と執着がすごかった。
ある意味、たくさんいるホステスの中で、えりかが一番苦労をしてた。
好きな時間に外出だってできなかったから」