その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
健太郎がEOCへ帰って来たのはもう夕方の六時だった。
もちろん、ロビンは帰宅していない。
健太郎が自分のブースに籠って仕事をしていると、ジャスティンの呼ぶ声がした。
明智君と聞こえた気がして、健太郎はフロントへ顔を出した。
「僕を呼びました?」
健太郎がジャスに向かってそう言うと、ジャスは健太郎を手招きする。
そして、サロンのカウンターに腰をかけて、健太郎にミネラルウォーターを渡した。
「今日、ロビンがソフィアと話してた。
ロビンの方からソフィアに用事があるみたいで、会社のパソコンを使って連絡を取ってたよ」
健太郎は何も言わずに頷いた。
「ここの仕事は、三か月で更新はしないそうだ。
考えてみれば、あと二週間で契約満了になるんだよな。
俺やトオルはそのまま更新するとばかり思ってたから、ちょっと驚いたんだ」
健太郎はジャスティンほど驚きはしない。
ロビンは昨日の事をまだ引きずっているに違いなくて、自分がいれば皆に迷惑をかけると思っている。
その感情のままでソフィアに電話したのだと思えば納得がいく。
ロビンは変なところで生真面目だから。
「で、トオルがこれからの事を聞いたんだ。
ここを辞めてどうするんだ?って」