その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
ジャスティンは隣に座る健太郎の横顔をずっと見ていた。
健太郎がロビンの事を愛しているのは分かっている。
でも、ロビンがそうなのか?と聞かれれば、ジャスティンは自信が持てなかった。
ロビンには闇が多過ぎる。いい意味でも悪い意味でも。
「それで、ロビンは?」
ジャスティンは健太郎の肩を叩いた。
「ベトナムに帰るってさ。
そこが自分のふるさとだからって」
健太郎は訳が分からず目を伏せた。
そんな答えを全く予想していなかったから。
「ふるさとって…
ベトナムには誰もいないのに。
お母さんの方の親戚だって、誰もいない」
ジャスティンはもう一度健太郎の肩を優しく叩いた。
「誰もいなくても帰りたいんじゃないのか?
聞いたら、アメリカのお父さんも行方不明らしいし」
「アメリカのお父さんも、もう亡くなっています。
僕の調べた情報では…」
ジャスティンは大きくため息をついた。
そんなロビンを愛してしまった明智君を気の毒に思いながら。
「明智君…
ロビンの求めている幸せと明智君の求めるロビンへの幸せが一致するのなら問題ないと思うけど、そうじゃないのなら、ロビンの好きにさせてあげるのが俺はいいと思う。
余計なお世話かもしれないけどね」
健太郎は素直に頷けない。
こんな時に湧き出る感情をどう対処していいか分からなかった。