その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
ロビンは謙人と店を出て、一緒にエレベーターで下へ降りた。
楽しそうにしているロビンに、謙人がこうつぶやく。
「ロビン、世界は広いんだ。
ロビンが気付いていないだけで、ロビンの知らない新しい世界はもう半分ドアが開いてる。
湯村さんだってそうだよ。
ロビンの気持ち次第で、人の出会いも生きていく環境も全く別のものになる。
新しく出発する事に、俺は賛成だな。
だって、ロビンの人生なんだから。
ロビンが好きにしないでどうするんだよ」
ロビンは、すぐに、謙人は今日ソフィアと話していた事について言っているのだと分かった。
一度、自分自身をリセットしたい。
そう思ってあの店から卒業したのに、卒業したのは自分の気持ちだけで内情は何も変わっていなかった。
日本にこだわっている自分を捨てるしかない。
日本にいるかぎり、あの店の一員としてカウントされてしまう。
オーナーは私を諦めないし、それによって加賀谷君を追い込んで苦しめる。
ロビンは自由とか幸せとかそんなものは後回しでいいと思った。
とにかくあの世界の人達に、自分自身を忘れてもらいたい。
ただ、それだけだった。