その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「謙人さん、今日はありがとうございました。
沈んでいた気持ちがちょっとだけ明るくなりました。
湯村さんもすごくいい人だったし」
ロビンはそんな事を謙人と話しながら出口の方へ歩いていると、仕事帰りの健太郎とばったり出くわした。
先に健太郎は気付いていたのか、涼しい目をしてこちらを見ている。
「明智君、今帰りか?」
謙人はこの気まずい雰囲気を察して、わざと大きな声で声をかけた。
「はい…」
謙人はロビンを愛してやまない健太郎が魅力的でたまらない。
元々、いい子で優しくて物腰が柔らかい明智君に獣の魂が宿ったような、そんな男として最強の魅力を手に入れた今の明智君は、男の目から見てもセクシーだ。
特に、今、謙人に向けている嫉妬を隠した眼差しは、もう最高でしかなかった。
「それじゃ、俺はここで退散するよ。
明智君に殺されたくないからさ」
人懐っこい笑みを浮かべて、謙人はいなくなった。