その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「子供の頃は、キスをするって約束したのに、簡単に忘れるところ。
夜に僕の部屋に遊びに来るって言って、すぐにすっぽかすところ。
カードゲームの途中に簡単に寝ちゃうところ」
ロビンはクスクスと笑い出す。
さっき泣いていた事はもう忘れて。
「その頃の僕の周りの人間は、皆、僕の言う事を聞いてくれたのに、ロビンだけは全然聞いてくれない。
だから、僕はロビンの気持ちをいつも知りたいって思ってた」
ロビンは健太郎の肩にそっともたれる。
あの頃の可愛らしいケンを思い出しているように。
「そして、ロビンは、さようならもまたねも何も言わずに、突然僕の前から消えた。
僕をパニックに陥れたまま…
あの頃の幼い僕に大きな謎を残して」
健太郎は駐車場に停めている車に、ロビンを乗せる。
そして、自分も乗り込むと、思いっきりリクライニングシートを倒した。
この暗くて狭い空間が今の僕達にはちょうどいい。
ロビンも健太郎を真似てシートを倒した。