その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「ケンの気持ちがすごく嬉しいけど…
でも、無理だよ…
そんな簡単なものじゃない。
ケンはオーナーの怖さを知らないから。
それにケンを巻き込みたくないの」
健太郎は寝転んだまま肩をすくめる。
「巻き込まれるっていうのは、嫌な思いをしたり被害に遭ったりする事だろ?
それは絶対にない。
でも、完璧に真っ新な世界に戻すには、ちょっとだけ時間がかかるけどね。
ロビンは普通に生活してればいいんだ。
僕に失敗はない。
ロビンが幸せになるために、僕は完璧な仕事をするだけだよ」
健太郎はロビンに詳しく加賀谷や脇田の事を説明する気はない。
法を犯した人間は罪を償い、そして社会復帰できる。
それは、ある意味、単純な事だ。
ロビンに話せば単純な事が難解になる。特にそこに関わる人間だから。
ロビンは半信半疑なのか、頷く事はしなかった。
健太郎はその仕草が何だか気になった。
「ロビン?」
ロビンは車の天井を見つめながら、小さく息を吐いた。