その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「ケン…
私、ベトナムに帰ろうと思ってる。
自分の身辺を綺麗にするためにも、私は日本を離れなきゃいけない。
ううん、それだけじゃない。
私自身を変えたいの…
できることなら、ベトナムに居た頃の私に戻りたい。
ケンと再会して、その思いは大きくなるばかりで…
今日、ソフィアと話して決心がついたの。
日本が大好きでいつかは永住権を取りたいってずっと思ってた。
でも、私のふるさとはベトナムで、ママとの思い出がたくさん詰まった場所もベトナムで、だから、私の中で苦しんでる幼いロビンに、ママの事をちゃんと納得させてあげたい。
そして、ママに謝りたい。
新しい事を始めるために、必要な事なの。
ママの事を考えないようにして逃げていた私を、もう終わらせたい。
ママの眠っている場所に行って、ママと話したいの…」
天井を見上げながら何度も涙を拭ってそう話すロビンを隣で感じるだけで、胸が締め付けられた。
ロビンがママの事を誰よりも愛していた事は、近くで見ていた健太郎が一番よく分かっている。
そして、それはロビンのママだってそうだ。
幼い健太郎は、ロビン親子のスキンシップが大好きだった。
すぐにロビンに頬を寄せるロビンのママ。
それを嬉しそうに嫌がるロビン。
そんな二人を見るのが大好きだった。