その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


ロビンは近くに置いてあるティッシュを取って、溢れ出る涙を拭いた。
そして、穏やかな表情で静かに目を閉じる。


「ケン…
私も会いたい…
大好きだった旦那様と奥様に…」


あの頃の光景は色褪せる事なく、ロビンの記憶の中に残っている。
奥様はつたない英語でロビンに数学を教えてくれた。
ロビンに数学を教えているけれど、実は、私がロビンに英語を教わっているのよ…
奥様のそんな優しい笑顔が大好きだった。
そして、奥様から教わる数学や世界史が大好きで、学ぶ事の楽しさを教わった。

旦那様だって同じ。
ロビンの事を自分の子どものように接してくれた。
日本へ帰った時も、必ずロビンにもお土産を買ってきてくれた。
英語で書かれた児童文学の本や、可愛らしいデザインの文房具、日本の美味しいお菓子はママと二人分。
ケンの両親の愛情をいつも感じ、感謝していた。
そんな二人に会いたくないわけがない。

健太郎は安堵感でいっぱいだった。
ロビンにとって自分の両親が会いたい人でよかったと。


「じゃ、土曜日にお邪魔しようか。
そんな風に伝えておくよ。
僕も家に帰るのはめちゃくちゃ久しぶりだし」



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