その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「あんなに小さかった健太郎が、お母さん達が何もしないなら僕がロビンを助けに行くって泣いたのよね。
普段、涙なんて見せない子がロビンのために涙を流したから、もう驚いて。
でも、あの時健太郎の想いが、今日に繋がっていたのかと思うと…」
奥様の涙は止まらない。
「ねえ、そんなに泣く事かな?
もう、そんな湿っぽい話はやめて、お茶にしようよ。
せっかく美智子さんが美味しそうなケーキを準備してくれてるのに」
健太郎のあどけないその言葉はその場にいる皆を和ませる。
特に、お手伝いの美智子さんは嬉しそうに紅茶を淹れ始め、健太郎の顔を見て微笑んだ。
「そうね、時間はゆっくりあるんだもの。
でも、胸がいっぱいでケーキが食べれるかしら」
ロビンはそんな奥様を愛おしそうに見つめた。
子供の頃に抱いていた奥様と旦那様のイメージは、時を重ねても何一つ変わらない。
それがロビンはとても嬉しかった。
健太郎の家族が共有する穏やかで温かい雰囲気は、不安だらけのロビンの心を優しく包み込んでくれる。