その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「旦那様、奥様…
私は、十三歳でベトナムを離れて以来、一度も故郷へ帰っていません。
突然、ベトナムとママのそばから離れる事になって、私は訳も分からないまま、アメリカの地で一生懸命生きてきました。
パパと一緒に暮らせると私もママもそう思っていたのですが、結局はパパには一度も会えませんでした。
パパの親戚の家にホームスティをしながら、色々な所で働かせられました。
幼い私は、毎日毎日、泣いて過ごしました。
ママに会いたくてたまらなかった。
でも…」
ロビンは涙で先が話せない。
そんなロビンの手を健太郎は優しく握った。
「私…
ベトナムに帰ろうと思っています…
ママに会いたい。
それがお墓でもいいんです。
ママに謝りたくて…
ママが亡くなった事は、しばらく経ってから聞かされました。
その時にこれから強く生きていくために、ママとベトナムでの思い出は心の奥底に封印しました。
ママの事を考えると後悔と寂しさで前へ進めなかったから。
でも、健太郎と会って、自然にベトナムの事を思い出す事でできるようになりました。
もちろん、ママも事…
今の私は、心の底から、ママのいるベトナムに帰ってそこで一からやり直したいと思っています」