その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
昔のロビンはこういう事を口に出す事さえできなかった。
ロビン・ファムという本物の自分を捨てていたから。
ロビンが話し終わると、奥様がロビンの隣にやって来て、ロビンを優しく抱きしめた。
旦那様も美智子さんまで泣いている。
すると、物静かな旦那様が、涙を拭いてはっきりとした声で話し始めた。
「ロビン…
実は、私達もロビンの事はずっと探してたんだ。
でも、中々難しくて、私の知り合いに頼んでも探し出す事はできなかった。
ロビン… よく聞いてほしい。
もう一つのロビンのママの真実を」
ロビンは驚いて、奥様の顔を見た。
奥様はもう一度ロビンを抱きしめる。
健太郎も驚いたように、身を乗り出して旦那様の方を見た。
「僕も知らない話?」
その健太郎の問いに、旦那様は小さく頷いた。
ロビンと健太郎は顔を見合わせる。
そして、健太郎は首を横に振る。ロビンに苦笑いを見せながら。
リビングから見える庭の景色が変わってきた。
さっきまで翳っていたその空間に静かな時が流れ始める。
柔らかい太陽の光線が皆のいるリビングにまで差し込み、気持ちを穏やかにしてくれる。