その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「いいよ…
ロビン、もういい。
神様のいたずらでお互いのもとに手紙は届かなかった。
そう思うしかない。今となっては…ね?」
健太郎はロビンの肩を抱き寄せた。
神様のいたずらにしてはむご過ぎる。
健太郎は可愛かった少女の頃のロビンを思い出し、そんなロビンが毎日泣いて暮らしていたかと思うと、怒りで拳が震えた。
ロビンのママも不憫でならない。
健太郎は窓から見える青い空を睨みつけた。
この世に神様なんてしょせん居ないんだと毒づきながら…
「私達は、もしロビンがベトナムに帰ってきたら、必ず私達のもとへ連絡が入るよう手配をした。
そうする事で、ファムさんの気持ちも落ち着いてきて。
それで、ファムさんはこの家にやってきたんだ」
「こ、この家に?」
健太郎は驚いて、そう聞き返した。
「この家に居たなんて、僕は全然知らないんだけど」
健太郎の驚きように、奥様も旦那様も美智子さんまでクスッと笑った。
「だって、あなたはイギリスに行って、三年は日本へ帰って来なかったじゃない?
夏休みは友達の家に行くんだとか、冬は皆とクリスマスを過ごしたいんだとか言って」
ロビンは健太郎が本当に何も知らなかった事に納得してしまった。
自分の興味がない事柄には、普段の生活でもそういうところがあるから。