その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「それにお父様と話していたの。
健太郎にはロビンの事は伝えない方がいいって。
ロビンの事になるといつもの健太郎じゃなくなるから」
健太郎は苦笑いをする。
それは間違いありませんと降参したように目を伏せて。
「ママは…
ママはここに居たんですか…?」
ロビンは早く先の話が聞きたくて仕方がない。
ママが日本へ来てたなんて、想像すらしていなかったから。
ロビンは声だけじゃなく、指先まで震えていた。
ママは私に会えずに私の事を待ちわびて、一人で寂しく亡くなったと思っていた。
それがここに?
ロビンの瞳からまた違う意味の涙が溢れ出す。
「その頃はね、私の母がまだ生きていて健太郎のおばあちゃまだけどね、この家に美智子さんと二人で住んでいたんだ。
私達は、仕事上、海外勤務が多くて、家を留守にすることが多かった。
そんな母と美智子さんの生活にファムさんも加わったんだ。
私達はベトナム勤務からアメリカの方へ赴任になったから、実際この三人がどういう生活をしていたかはよく知らない。
でも、母はすごく楽しそうだった。
ファムさんの事もすごく気に入っていて、まるでもう一人娘ができたように可愛がっていたらしい。
ここから先の話は、美智子さんに聞いた方がいいよ。
この家でどういう風に過ごしていたかはね」