その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
ロビンは呼吸の仕方を忘れてしまったみたいに、心臓の高鳴りの音しか聞こえてこない。
ロビンが言葉を失くしていると、代わりに健太郎が質問してくれた。
「じゃ、ベトナムに行ってもロビンのママはいないって事?」
すると、健太郎とロビン以外の三人は満面の笑みを浮かべて、そうよと頷く。
さすがの健太郎も頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。
自分が何も知らな過ぎたゆえの今なのだけれど、この驚きは今までの人生で一番かもしれない。
「え? マジで?」
健太郎はこの目まぐるしい展開に喜ぶべきなのか悲しむべきなのか、そんな事すら判断できなくなっていた。
「ロビンちゃん、ちょっと抱きしめてもいい?」
美智子さんはそう言うと、ロビンの隣に腰を下ろした。
そして、我が子のようにロビンを抱きしめる。
「ファムさんはいつもこうやって私の事を抱きしめてくれたの…
私も家族とは疎遠の孤独の身だったから、ファムさんは私の事を妹のように可愛がってくれた。
ファムさんのロビンちゃんへの想いが、私を通して届けばいいと思ってる。
あなたを、ずっとこうやって抱きしめたいと思っていたはずだから」