その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
ロビンは、今、やっとママの気配を心に感じた。
ママはこの家で私の事をずっと待っていた。
生きている時も亡くなってからも。
もう涙が止まらない。
ママの温かい温もりが美智子さんを通じて、旦那様と奥様の温かいまなざしを通して、心にどんどん押し寄せてくる。
「ママ、ごめんなさい…
ママ… ママ…」
ロビンの中で、ママへの想いは大きな苦しみとなっていた。
思い出せば悲しくて、考えれば苦しくて、幼いロビンはママへの想いを心の奥底に仕舞いこむしかなかった。
その切ない想いは時を超えて、今、受け止めてくれる場所へ戻ってきた。
大好きだったママの胸の中に…
「本当によかった…
ロビンちゃんがこの家に来てくれて。
そして、ファムさんの想いを伝える事ができて」
その奥様の言葉をきっかけに、美智子さんはまたお茶の準備をし始める。
今度は、ロビンも涙を拭きながら手伝った。
こうやって、先を見て、奥様達のお茶を準備するのは、ママがいつもやっていた事。
ロビンは、美智子さんがママの事を本当に尊敬して愛してくれていた事が嬉しくてたまらない。
そんな二人を見つめながら、健太郎は大げさにため息をついた。
嬉しいような寂しいようなそんな気分に浸りながら。