その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
健太郎は完全に置いてきぼりだ。
でも、だからといって、両親とはいえロビンの事を容易く手離すつもりはない。
「いいよ。
大丈夫だよ、父さん。
ベトナムに帰らないんだったら、僕のマンションに今までどおり住めばいいし。
仕事だって僕がちゃんと探すから」
健太郎の言葉に返事をしたのはロビンだった。
「ううん、ケン、私、ここに住みたい。
ちゃんと家賃は払います。
食費や光熱料も。
そして…
もし、よろしければ、ママがしていたように旦那様と奥様のお手伝いがしたい。
美智子さんに教わりながら」
奥様は嬉しそうな顔をしながら、でも首は横に振った。
「それはダメよ。
私達はまだまだ元気だし、美智子さん一人で大丈夫。
ロビンはママができなかった事を、この日本でいっぱいやらなきゃ。
お勉強だって大好きだったでしょ?
あなたの未来は可能性で満ち溢れているんだから、人生を有意義に楽しまなくちゃ」
健太郎はどう見ても蚊帳の外だ。
でも、今日はこの流れに任せるしかないのかも。
それが、きっと、ロビンのママも含めて、皆が望んでいるのであれば。
「でも、明日は早すぎだよ。
そんなに慌てる必要はなくなったんだからさ」