その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党



ロビンはすぐにロザリオを手に取った。
そして、袋の中から取り出すと、その十字架の裏に“for robin”と書いてある事に気付く。
ロビンはそのロザリオを握りしめ、健太郎の首元に抱きついた。


「ケン、ありがとう… 本当にありがとう…
こんな私を見つけて、ここへ連れてきてくれて」


どれほど涙を流しても枯れる事がない事を、今日、知った。
でも、今日、流す涙は今まで流してきた悲しみの涙じゃない。
健太郎が絡まっていた糸を、根気よく解いてくれた。
そして、解けきった糸を一気に手繰り寄せてくれた。
私は迷子になっている事に何も気付かず、ただただ苦しい日々を過ごしていた。
そんな私を、大好きな健太郎が見つけてくれた。

健太郎は自分にしがみついて泣いているロビンを、そっと、前を向かせる。
そして、ロビンからネックレスを受け取ると、それをロビンの首元にかけてあげた。


「ほら、これで、二人はやっとめぐり会えた…
よかったね、ロビン…
そして、ロビンのママも」


ロビンは胸元にあるロザリオをそっと握りしめた。
ママの息遣いが耳元で聞こえる。
私の可愛いロビン…
ママのふんわりとした肌のいい匂いまでロビンは感じていた。


「あと…」


健太郎はそう言うと、ため息をついてロビンを見る。



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