その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
エピローグ
ロビンと健太郎は、母屋で待っていた両親と美智子さんに挨拶をして急いで家を出た。
車を走らせて、丘の上の教会へと急ぐ。
さっき来た道と同じ道を車は走っているのに、ロビンにとっては全く違う風景に見える。
この街にママが居た。
その事実がロビンの心を癒していく。
ロビンは窓を開け、外の空気を胸いっぱい吸い込んだ。
この風の匂いを忘れない。
ケンの匂いとこの街の匂い、そして大好きなママの匂いを…
健太郎の運転する車は、住宅街を抜けて細い路地に入り込む。
そこからは急な坂道になっていた。
車が一台通れるくらいの細い道路は、森の中のトンネルみたいだった。
背の高い樹木の緑が生い茂って、先の方でアーチを作っている。
幼い頃に見たジブリ映画を思い出した。
アニメーションの中の日本はこんな素敵な風景だった。
陽の光にキラキラ光る葉っぱの緑と、真っ青な空、そして舗装がされていない一本道。
そんな憧れの日本が、今、私の目の前に広がっている。
「ロビン、車酔いしてない?
もうすぐ着くからさ。
気分が悪かったら、シートを倒して寝てていいから」
健太郎は本当に優しい。
ロビンはそんな健太郎に、大丈夫だよと囁いた。