その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
ロビンは今座っているベンチをそっと触った。
ママの痕跡がロビンの心に沁みてくる。
「ロビン…
君のお母さんは、大きな苦しみを背負っていた。
その苦しみは本当に根深くて、神様さえも信じない。
でも、ここへ来るようになって、たくさんの導きをいただいて、ファムさんは救われたと言っていたよ。
僕の記憶に残っているファムさんはいつも笑っている。
可愛らしい笑顔で、楽しそうに」
神父様はそう言うと、共同墓地に入る鍵を渡してくれた。
でも、ロビンはそんな神父様につい聞いてしまった。
「神父様…
ママの大きな苦しみって…?」
健太郎の右手がすぐにロビンの左手を包み込む。
もう行こうと急かしているように。
でも、神父様は、ロビンの質問にちゃんと答えてくれた。
「ファムさんは…
幼い君を手離してしまった事をずっと悔やんでいた。
母親だったら当然だよ。
我が子以上に大切な物はないんだから。
僕と話す時は、ロビンに謝りたいっていつも泣いてね。
だから僕は祈る事を勧めた。
いつか必ずファムさんの想いは娘さんに届くからと言って」
ロビンは肩を震わせて泣いた。
ママが謝る事なんて何もないのに…と小さな声で囁きながら。