その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党



「でも、月日は経ってしまったけれど、こうやって君はお母さんに会いに来た。
それだけで十分。
ファムさんの笑顔が目に浮かんでくるよ。
お母さんといっぱい話しておいで。
お母さんはこの世にいなくても、不思議と何かで繋がっているんだ。
誰かがここに導いてくれたみたいにね」


神父様はそう言うと、隣に立つ健太郎に笑いかける。
そして、行っておいでと二人の背中を押してくれた。
健太郎はロビンの肩を抱き寄せて、共同墓地へ続く小道を歩き出す。

墓地の入り口のドアの鍵を開けると、そこはそんなに大きくないこじんまりとした空間だった。
小さな墓石が整然と並んでいる。
そして、海が見下ろせる景色が綺麗な場所に、ロビンのママのお墓があった。

シンプルな小さな墓石にはベトナム語で名前が書いてある。
ロビンはそこに腰を下ろして、ママの墓石を手で触った。
健太郎は少し離れた場所からロビンを見ている。
今は、ママと二人きりにしてあげたい。
僕に聞かれたくない話もあるはずだから。

すると、ロビンは振り返り、健太郎を呼んだ。
その顔には微笑みが浮かんでいる。
健太郎は少しホッとして、ロビンの隣に腰を下ろした。


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