その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「ロビン、ママはここに居る。
僕達にそれを教えてるんだ。
もう、誰も傷ついてない。
ママの心も、ロビンの心も、僕の心だって、今この瞬間にあのべトナムに居た頃に戻ったんだ。
幸せで愛情に満ち溢れていたあの頃に」
ロビンは何度も頷きながら、それでもママの墓石を撫でていた。
本当は生きているママに会いたかったに違いない。
それを思うと、心が苦しくなるけれど。
すると、ロビンが健太郎の手を取ったまま、ゆっくりと立ち上がった。
「ママ、いいよね?」
そんな事を言うロビンは、首元からロザリオのネックレスを外した。
「ケン…
これをケンに持っていてほしい。
私はずっとこの世に神様なんていないと信じていた。
私達親子は神様に見捨てられたって。
でも、今日、分かったの。
私にとって、ケンが神様も超える存在だったって」
ロビンはそう言いながら、そのロザリオを健太郎の首元にかけた。
「このロザリオは、私にとってもママにとっても一番の宝物…
だからこそ、ケンに持っていてほしい。
私はケンのもとから離れない。
ううん、離れたくない。
私にとって、ケンはこの世で一番大切な人だもの」