その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


「明智君、ソフィアと連絡を取ってくれた?」


三か月前から職場復帰したトオルは、珍しく遅い出社の健太郎を見つけそう聞いた。

トオルとしてはできれば永遠に在宅ワークを希望していた。
だって、加恋や莉々ちゃんのお世話を好きなだけできるから。

でも、そうはいかなかった。
映司がイタリアへ行ってしまい(半年後には帰国予定)、謙人はビッグプロジェクトに付きっきりで、そんな中、新エースの明智君は一か月ほど休みがほしいと言い出した。
ジャスティンは相変わらず忙しいし、今、次期社長の舟が日本へ来ているが本人はバカンスで来ているから仕事はやらないと宣言しているし。

そんな中、トオルはソフィアに明智くんの休暇の件を短縮してもらえるようお願いした。
今のEOCに明智君の存在は欠かせない。
あの無邪気な笑顔に、皆、心を掴まれる。
うちの加恋や莉々ちゃんでさえも明智君ファンで嫉妬するくらいなのに。
頭脳明晰、四か国語を操り、優しくて温厚でそれでいて失敗がない。

でも、トオルは何かを感じていた。
彼のたまに見せる冷ややかな眼差しに只ならぬ何かが潜んでいる。

でも、そんな事を思わせるのはほんの一秒の出来事。
すぐにあの可愛らしい癒しの笑みがトオルを包み込む。
男の俺でさえ惚れてしまいそうになる彼の笑顔は、彼特有の最大のアイテムで最強の武器だった。



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