その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
健太郎は少し緊張していた。
緊張なんてこの何年かした事がないのに。
ミアに教えてもらった駅からほど遠い場所にある小さなカフェで、健太郎はタブレットを開いて仕事をしていた。
午後三時という健太郎にとっては決して暇じゃないこの時間帯に、こんなにもEOCから遠く離れたカフェでコーヒーを飲んでいる。
それも柄になく緊張しながら。
とりあえず入り口がよく見える席に落ち着いた。
偶然を装うにはしっかりとロビンを見つけなきゃいけない。
とはいえ、このカフェは嬉しいくらいに空いていた。
これなら偶然会う奇跡が起こってもわざとらしくないはず。
そうこうしていると、誰かが入って来る音が店内に響き渡った。
健太郎が入り口に目をやると、そこには間違いなくロビンが立っていた。
でも、あの画像で見たロビンとは別人だ。
あの画像の中のロビンは、漆黒の長い髪が綺麗にカールされていた。
いかにもクラブのママのような風貌だった。
でも、今、目の前に立つロビンは、大学生のように髪は栗色で真っすぐのストレート、前髪は眉の上でぱっつんと切っている。
そして、大きめのサングラスで顔を隠しているが、美しさは隠し切れない。