その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


「はい、さっき話しました。
あ、その前におはようございますですよね。
すみません、遅くなっちゃって」


健太郎のいつもの笑顔は健在だ。
この笑顔は自分の本心を優しくオブラートで包んでくれる。
その本心がカチカチに凍った氷のようだとしても。


「で、ソフィアは何て? 休暇の件は」


健太郎は肩をすくめた。


「一か月を二週間にしてもらえないかと」


健太郎はトオルの痛い視線を感じながら、自分のデスクへ向かう。
そんな健太郎をトオルは追いかけながら、こう聞いてきた。


「で? 明智君は何て答えたの?」


「いや、もう休みは要らないですって」


健太郎にトオルのよっしゃー!の心の叫びが聞こえてくる。
それまではEOCの鬼軍曹とか呼ばれていたけれど、今はそんな雰囲気はこれぽっちもない。

トオルさんは子供ができてから、何だか性格が優しくなった。
健太郎にとって、すごく興味深い事柄だった。
子供の頃から培ってきた性格が変わる事ってあり得るのかな、と。


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