その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
健太郎はロビンを大きく包み込むように微笑んだ。
神様に誓って、この笑顔は偽りじゃない。
でも、今の健太郎は、淡い初恋の頃の感覚を思い出せない。
大人になった僕は、この感覚をコントロールする事はできるのだろうか。
「ロビンは、今、どこに住んでるの?
あ、その前に、こんなに話して大丈夫?
誰かと待ち合わせとかなんじゃ?」
こんな演技が自然に出て来るなんて、冷静になったらすごく恥ずかしい。
この能力はきっと今日限定だと思うけど。
健太郎の問いかけにロビンは力なく首を横に振った。
「友達と待ち合わせしてたんだけど、急用が入って来れないって…
私はまだ時間はあるけど、ケンは?
仕事なんじゃないの?」
健太郎は、実際、ゆっくりお喋りをしている時間なんて全然ない。
さっきから、タブレットにメッセージが次々と入っている。
健太郎は肩をすくめて苦笑いをした。
ロビンの連絡先を聞かなきゃ、僕は帰れないんだ…
「一時間くらいなら大丈夫かな…
でも、これ一回きりにしたくないから。
あ、ロビンとのこれからの事を」
ロビンは複雑な表情で健太郎を見てる。
「ケン…
私は大丈夫だから。
今、ちゃんとした仕事を探してるの。
外国人には中々難しいけどね」