その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
ロビンはそう言うと、伏し目がちにアイスコーヒーを飲んだ。
でも、すぐに笑顔で健太郎を真っすぐに見る。
「ケン…
私、勉強したい。
今までできなかったことをたくさんしようと思ってる。
だから、心配しないでいいからね」
健太郎は何だか少しだけ落ち込んでしまう。
「でも…
友達には戻れる?」
「うん! もちろん」
健太郎に芽生えた保護本能は強烈な勢いで増していく。
今までつき合った女性にも全く抱かなかった奇妙な感情。
健太郎は戸惑いながら、普段はほとんど使わない自分の名刺を取り出した。
そして、そこにプライベート専用のスマホの番号を付け加える。
「ここで働いてるから。
後、ロビンの仕事も、もしかしたら紹介できるかも。
中途半端なところで働いてほしくない。
昔の自分を捨てたいなら、尚更だよ」
冷たいようだけど、健太郎にとってそこはすごく大事だった。
ロビンはこんなナチュラルな雰囲気を醸し出しているけれど、簡単にあの世界の人間と手が切れているとは思えない。
そして、健太郎は静かに微笑んだ。
「教えてほしいな…
ロビンの番号も」
健太郎は戸惑っているロビンのスマホに目を向ける。
当たり前だろ?みたいに頷いて。