その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
健太郎はロビンのそっけない返信に心を痛めている。
心が痛む?
一体僕はどうなってしまったんだ…?
会社へ戻ってきた健太郎を鬼のような顔をしたトオルが待っていた。
でも、今の健太郎にそんなトオルの姿さえ見えない。
「明智君!」
そう呼ばれて、健太郎はトオルに軽く会釈をした。
どうか僕の事は放っておいてくださいと、心の中でつぶやきながら。
健太郎はとりあえず溜まっていた仕事を淡々と済ませる。
海外の取引先とのビデオ通話は丁寧断って、大切な案件をデータ化して送信した。
とにかく、今は笑顔が作れない。
笑顔って、息をするのと同じくらい自然なものなのに?
本当に僕はどうかしてしまった。
「明智君、いいかな?」
そう言って、健太郎を呼んだのはジャスティンだった。
「何? 機嫌が悪い?
あのトオルがビビってたからさ」
ジャスは完璧に面白がっている。
最近のトオルさんは感情豊かで人間らしさが増していて、その事をいつもジャスはからかっていた。
「いや、別に何もないです…
あ、そうだ!」
健太郎は以前聞いた凪の話を思い出した。
凪の恋人のマイマイはここEOCにアルバイトとして入っていた事を。