その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「海外へ行く用事が急にキャンセルになったんで、もう休みは必要ないです」
健太郎はそう言って軽く微笑んだ。
トオルの表情は安堵感で包まれている。
ロビンが東京に居るのなら、今の生活のままで探す事はできる。
健太郎は自分のスキルをフル活用して、短期間で事を済ませるつもりでいた。
でも、もしかしたらトオルさんやジャスの協力が必要になるかもしれない。
その時のため、健太郎は最大限の人脈を準備している。
その中にEOCの人間も含まれているけれど。
「2、3日だったらいつでも休みとってもいいから。
明智君に頼ってばかりの俺を許してほしい。
俺も頑張るよ、以前のトオル様に戻るようにね。
あ、ジャスと謙人にもその休みの変更の件、伝えとくから」
健太郎はよろしくと頭を下げると、自分のブースへ閉じこもった。
溜まっている仕事を今は後回しにして、今朝、届いたばかりのべトナムからのデータをもう一度開いてみる。
ロビンの日本での名前が分かった。
そして、住所も。
通名、西園寺えりか。
日本に住んで五年になるらしい。
五年も日本に居た?
健太郎は愕然とする。
ロビンが日本にそれも東京にいたなんて、僕は今まで何をしていたのだろう。