その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


健太郎とロビンの出会いは、健太郎が九歳ロビンが十一歳の春だった。
外交官だった父の転勤で九歳の時にベトナムに来た健太郎は、健太郎の家でお手伝いさんとして働くファム親子と仲良くなった。

裕福な日本人の家に住み込みとして働くお手伝いさんは珍しくなく、特にファムさんの場合、幼いロビンを預ける家族も親戚もいなかったため、お手伝いさん仕様の狭い四畳半の部屋に二人は暮らしていた。

健太郎より五歳も下の幼い妹はロビンが大好きだった。
ロビンの仕事は主に妹の遊び相手で、妹が懐くほどロビンは優しくて思いやりのある子だった。
そんなロビンはベトナム人とアメリカ人のハーフで、割合でいったらお父さんのアメリカ人の遺伝子が強いのか、肌の色も白く目の色もブルーですごく綺麗な子だった。


その頃、ロビンが学校に通っていたのかそれは何も記憶がない。
でも、健太郎と話す言葉は全て英語だった。
一度、ロビンにこう聞いた事がある。


「お父さんがアメリカの人だから、ロビンは英語が流暢なんだね」と。


「お父さんは私が五歳の時にアメリカへ帰ったままなの。
でも、写真でどんな人かは知ってる。
声は全然覚えてないけど」


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