その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
そして、今日、ロビンはスマホを解約してきた。
新しく出発するために、一番厄介なアイテムだったから。
でも、EOCで働くにはやっぱりスマホは必要となるため、格安ショップでゼロ円携帯を契約した。
SNSと通話ができればいい。
そして、仕事以外の人間にはこの携帯の存在を教える気はなかった。
西園寺えりかとしての過去はもう捨てた。
「ただいま」
ロビンはその健太郎の声に心が弾んだ。
家族を持たないロビンにとって、健太郎の存在は家族に一番近いのかもしれない。
健太郎は少しだけ疲れて見えた。
ロビンはそんな健太郎の手を取り、ご馳走の前に座らせる。
「すごいな…
これ、全部ロビンが作ったの?」
ロビンは嬉しそうに頷いた。
そんなロビンの笑顔に、確実に癒されている健太郎がいる。
健太郎はそのご馳走を観察していると、ある事に気付いた。
そう、その料理にロビンからのメッセージが込められている事は分かっていた。
そして、そのメッセージに気付いてあげたい。
「この肉料理は、何て名前かは忘れたけど、確か、ベトナムにいる時によく食べたやつだよね?」
一瞬でロビンの顔が輝いた。
僕のその気付きをずっと待っていたみたいに。