その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
健太郎は二歳年上のロビンに恋をした。
お手伝いさんの子とか外交官の子とか関係ない。
子供の頃の純粋で素直な想いは、誰も止める事はできない。
背筋が伸びていつも微笑みを絶やさないロビンを、健太郎は地球上のどの女性よりも美しいと思っていた。
外交官の父を持つ恵まれた環境が当たり前だと思っていた健太郎にとって、ロビンの存在は、国境も階級も偏見も全て無意味なものにしてしまう。
ロビンの顔もスタイルも声も控えめな性格も、笑うと見える右側にできるえくぼも、妹と遊ぶ時に見せる柔らかい表情も全てが大好きだった。
そんなロビン親子が、ある日、健太郎の家から居なくなった。
健太郎の父は、ロビンはアメリカのお父さんの元へ行ったと話した。
「じゃ、何でロビンのお母さんまでここから出て行ったの?」
その時には何も教えてもらえなかったけれど、十二歳になってベトナムを離れる健太郎に母親がそっと教えてくれた。
「お父さんは絶対に健太郎に言うなって言うんだけど、しつこく何度もロビンの事を聞いてくる健太郎に、お母さんは嘘は言いたくない」
「ロビンは?
今、どこにいるの?」