その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


「その料理に名前があるのかは分からないけど、私のママがよくケンのために作ってた。
すごく楽しそうに。

私も大好きな料理だから、作り方はしっかり覚えてた。
子供の頃の記憶って凄い。
あっという間に思い出したもの」


健太郎も嬉しくてたまらない。
ロビンに再会した事が、最近の出来事だなんて思えないほどに近くに感じる。
僕の殺風景なリビングに、まるで天使がやって来たみたいだ。

健太郎が買ってきたワインを開けて、二人はロビンの仕事が決まった事への乾杯をする。
そして、奇跡がもたらした再会に、何度もグラスを合わせた。

健太郎とロビンは、食事をしながらたくさんの話をした。
そのほとんどは健太郎の話で、ロビンは聞くだけ。
でも、健太郎はそれでいいと思っている。

ロビンの過去が壮絶だった事には間違いなくて、そんな過去をあえて思い出す必要はない。
これからの僕とのたくさんの日々は、絶対に楽しい記憶になる。
その記憶でロビンの全てを埋め尽くしてあげたい。

でも、これから先、ロビンの過去を知りたくなる日がくる事を、この日の健太郎は全く想像すらできなかった。


「それとロビン、聞いてほしい事があるんだ…」


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