その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


「明智君はいくつになったんだっけ?」


「27歳です」


健太郎は小さな声でそう答えた。


「何かが変わるかもな。
でも、それは恐れるようなものじゃない。
素直に受け入れたら、最高の温もりを手に入れる事ができる。

でも、その前段階で、皆、失敗するらしいけどね。
負け知らずの明智君なら簡単な事だよ。
いつもの包容力を全開にしておけばいい。
どんな女性でも虜にできるんだから」


トオルにとって、明智君は失敗のない男だ。
だからこそ心配はしていない。
でも…

最近の明智君に変化が生じている事には気付いていた。
前のような無条件のいい子ではなくなった。
彼の中に潜んでいた冷酷な部分が、確実に目覚めている。
冷酷な男の部分が…


健太郎は自分のブースに籠り、とりあえず溜まっている仕事に取り掛かった。
味わった事のない敗北感がつきまとって、何だか冷静でいられない。
ロビンが謙人の事を好きになってしまったら?
自分らしくない考えに頭がおかしくなりそうだ。

健太郎は謙人の今日のスケジュールを確認するため、タブレットを開いた。
午後からは出かける予定になっている。
それだけで心が鎮まる自分が歯痒くてしょうがない。

僕はこの生活に三か月も続けられるのだろうか…



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