その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
ロビンと謙人がミーティングルームへ入って一時間くらいが経った頃、健太郎のPCにメッセージが入った。
謙人からの呼び出しだ。
健太郎は小さく息を吐いた。
そして、ドアの前に立ち、もう一度軽く息を吐く。
ドアを開けると、すぐにロビンが気が付いた。
健太郎を見て小さく手を振る。
「ごめんな、忙しい時に呼び出して。
明智君に教わった方がいい事が多過ぎてさ。
ロビンが午前中の内に必ずしなきゃいけない事も、この間まで明智君がやってた事だし、俺はロビンに日本語を教える事に専念するよ。
ジャスがマイマイに英語を教えてたようにね」
健太郎は黙って二人を見ていた。
ロビンちゃんからロビンに進化した謙人の呼び方が何だか気に入らない。
「じゃ、ロビン、今日から始めよう。
時間外になったらソフィアがうるさいから、俺が暇な時間に教えてあげる。
大体、午後になる事が多いと思う。
だから、それまでにやるべき事はやっておくこと。
OK?」
ロビンは大きな声でOKと返事をして、そして微笑んだ。
すると、謙人がいい子だと言って、ロビンの頬を触った。
健太郎は思わず目を逸らす。
胃の辺りにムカムカを感じながら。
「じゃ、明智君、よろしくな」
謙人は笑顔で健太郎にそう頼んだ。
でも、笑顔を作れない健太郎がいる。
「分かりました」
そう言うのがやっとだった。