その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
謙人が出て行くと、ロビンはリラックスして座ったまま背伸びをする。
それはきっと僕にしか見せないロビンの姿。
健太郎はロビンを見つめたまま、わざとらしく大きく深呼吸をした。
自分の心を落ち着かすためと、ロビンにもそう促して。
ロビンも座ったまま、大きく深呼吸をする。
「大丈夫? 疲れてない?」
健太郎はそう言いながら、ロビンの前に座った。
ロビンは肩をすくめて可愛らしく笑う。
「うん、大丈夫…
謙人さんもすごく親切で、丁寧に色々教えてくれた。
本当に有難いよ…」
「そっか…」
健太郎が良かれと思って蒔いた種は、美しい花を咲かせようと頑張っている。
最善の策と思いロビンをこの会社に入れた事が、こんなに自分を苦しめる事になるなんて夢にも思ってなかった。
「でも、謙人さんには気を付けて方がいいかもしれない…」
最悪な僕はこんな事を呟いた。
「何で?」
ロビンの頑張る気持ちに水を差すような行為に、健太郎は自分自身に反吐が出そうになる。
「謙人さんはすごくモテるんだ。
いつもあんな感じで、皆、自分の事を好きなのかもしれないなんて勘違いするパターンが多くて…
ロビンはそんな心配はないと思うけど。
余計なおせっかいか…
最悪だね、僕は」