その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


自分のマンションとはいえ、今はロビンの家だ。
勝手に入る事は躊躇してしまう。
健太郎の目的は家に入る事じゃなくで、ロビンの顔が見たいだけだから。

健太郎はマンションの正面玄関の近くで待っていたが、どう見ても不審者にしか見えない。
しょうがなく、マンションのエントランスに入った。
そこに置いてある小さめのソファに座る事にした。
タブレットを開いて仕事をしているふりをする、
誰か家族を待っているような素振りを見せて。

今の自分の行動をどう説明すればいいのか分からない。
こんな気持ちを一体何と呼べばいいんだろう。

それからどれくらいの時間が経ったのだろう。
ロビンは中々帰って来ない。
その現実に健太郎は押しつぶされそうになっていた。


「ケン!」


健太郎はロビンの呼ぶ声にやっと目を開いた。
目を閉じて寝るしかないと、そう自分に言い聞かせながら時間を潰していたから。


「ケン、どうしたの?
家に入ってればよかったのに…

ここでずっと待ってたの…?」


ロビンは可愛い弟を見るようなまなざしで、泣きそうな顔でそう言った。
健太郎は笑顔を作る事ができない。
ロビンの顔を見て安心するはずが、異常な程の嫉妬の感情が自分を支配する。
健太郎は小さく息を吐いた。


「ちょっと、荷物を取りに来ただけなんだ。
ロビンが遅くなる事を忘れてた…

ごめん…
驚いたろ…?」



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