その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
土曜日の朝は、ついつい寝過ごしてしまう。
ロビンは目が覚めると、すぐに健太郎を探した。
健太郎と深夜までオセロをして遊んだ。
子供の頃の勝敗を完璧に記憶していた健太郎は、その続きをやりたがった。
何度やっても健太郎に勝てない私は、ふて寝してしまった気がする。
「ケン? いる?」
健太郎の部屋を覗いても、誰もいない。
急に寂しさが押し寄せる。
ケンの温もりは家族の温もりだと思っていた。
でも、今、私が求めている温もりは、多分、それとは違うもの。
「ケン?」
キッチンのテーブルの上にA4のコピー用紙が置いてあった。
“僕だってロビンに日本語を教えたい
今日の午後に、青い空の下でレッスンをしよう
11時に迎えに行きます”
ロビンはその紙を抱きしめて泣いた。
天涯孤独で一人で立派に生きていこうと決心したのはついこの間で、それなのに、もう一人が辛くなってきている。
今のこの穏やかな生活がいつまで続くかも分からないのに。
ロビンは三か月を区切りとしていた。
EOCで一生懸命働いて、お金を貯めて、その後の行く場所を考えたい。
一人で生きていくと決めたのだから。