その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
健太郎は自分のブースから出ると、謙人を探した。
そういえば、トオルさんが職場復帰してから、そして舟さんが日本へ来てから、歓迎会のような事をしていない。
今のEOCのメンバーはほとんどが妻帯者で、そんな飲み会的なものを求める人はいなかった。皆、早く家へ帰りたがる。
理由は聞くだけ無駄だけど。
健太郎は皆が集まる口実がほしいだけだった。
ロビンが経営する高級クラブに行くために、誰か一緒に行く人を探していた。
「謙人さん!」
健太郎がコーヒーを淹れていると、謙人が中へ入ってくるのが見えた。
「おう、明智君、おはよう。
今日も爽やかでいい男だな」
唯一、この職場で独り身の謙人は、自由を謳歌している。
謙人のスマートさはEOCの中でも際立っていた。
健太郎はそんな謙人に相談してみる。
「謙人さん…
ちょっと遅くなっちゃったけど、トオルさんや舟さんの歓迎会的なものをやらなくてもいいのかなって思って」
謙人は窓際で誰かと電話をしているトオルに目をやり、肩をすくめて微笑んだ。
相手が最愛の妻だという事は一目見て分かる。
だって、あり得ないほどに鼻の下が伸びてるから。