その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
素直で単純な事
「明智君、悪い、先に謝るよ」
ロビンがEOCの仕事にもだいぶ慣れてきたある日、謙人が珍しく健太郎のブースに入ってきた。
「何がですか?」
健太郎にとって、いまだに謙人の行動はストレスの元だった。
ロビンと相変わらず仲がいい謙人を、いつも疎ましく思っている。
だから、つい、無愛想な態度を取ってしまう。
「俺、余計な事を喋ったみたい」
健太郎はゾッとした。
別にこれといってロビンに大きな隠し事はないけれど、謙人の言葉は恐怖でしかない。
「何を話したんですか…?」
謙人は狭いブースの中に折り畳みの椅子を見つけ、すぐそれを開いて座った。
「ロビンに、ミアの事を話したんだ。
そしたら、何でミアの事を知ってるんですか?って」
健太郎は小さく息を吐いた。
マジか…と。
「で、何て話したんですか?」
謙人は困ったふりをしているだけで、本当は楽しんでいるのが分かる。
「全部、話したよ。
こう見えて俺って、嘘つくのが下手だから」
健太郎は天井を仰いだ。
そんな健太郎を見て、謙人はますます楽しそうに微笑む。
「っていうか、ミアからまた飲みに行きたいですっていうラインが多くてさ。
そしたら、ある日、ロビンの居場所を知ってますか?って」