その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党



健太郎はロビンがスマホを変えた事を思い出した。
ミアにも連絡先を教えてなかった事は、それは知らない。


「ミアがすごいロビンの事を心配してたから、ちょっとだけロビンに教えたんだ。
ミアがロビンの事心配して探してるって」


謙人は悪いって顔をしかめている。
後は、明智君よろしくって、声に出さなくても心の声が聞こえてくる。


「ま、でも、明智君、こんな時はみんなでご飯でも食べに行くのが手っ取り早いと思うよ。
ミアは俺に会いたがっているわけで、ロビンはそうなってしまった状況を理解してくれるだろ。
ミアは俺にもロビンにも会えるし、ロビンは皆がいる場所では明智君の事は悪く言えないはずだし」



健太郎は自分の姑息な計画にミアと謙人を巻き込んでしまった事は本当に悪いと思っている。
だけど、謙人の思いつきがいい計画とも思えない。
健太郎が考えながら黙っていると、謙人はよし決まり!と言って立ち上がった。


「決まりって?」


健太郎がそう問い返すと、謙人は人たらしの笑みを浮かべる。


「今日、飲みに行こう。
っていうか、俺は今日しか空いてない。
ロビンとミアには俺がそう伝えとくから、明智君はロビンへの言い訳を考えといて。

あ、場所はこの上のいつものバーにするから。
ちゃんと個室を用意するよ、安心しろ」


個室を用意するよ、安心しろって…
僕の心配事はそこじゃないのに。
健太郎は何も言えずに、ただ謙人の後ろ姿を見送るだけだった。


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