その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
「明智君、遅いぞ!」
健太郎は溜まっている仕事を早急に終わらせて、謙人が指定した店へ急いだ。
気がのらないからといって、わざと遅れてきたわけじゃない。
でも、どっちにしても遅れたのは確かで、気がのらないのも間違いなかった。
「明智さん、久ぶりです」
ミアは日本語で上手に挨拶をしてくれた。
謙人さんと会えたせいか、すこぶる機嫌がよく見える。
でも、対称的に、ロビンは健太郎を見ようともしない。
健太郎はますます気が滅入った。
「明智君が来るまでの間に、一通り俺とミアでこうなった経緯をロビンに説明しといたから。
あとは、明智君の頑張り次第ってとこかな」
謙人はそう言って、健太郎に目配せをする。
もう自分の仕事は終わったみたいな清々しい顔をして。
心なしかロビンは、謙人さんにくっ付いている気がした。
見ようによっては、ミアと二人で謙人さんの取り合いをしているようにも見える。
謙人は健太郎の事をチラチラ見ながら、どうすればいい?みたいな目で訴えてくる。
「ロビンはさ、明智君の方に座ったら。
明智君が話があるみたいな顔をしてるからさ」
そう言われても、ロビンは謙人の側を離れようとしない。
健太郎は冷めた目でそんなロビンを眺め、そして、自分の方から席を移った。
もちろん、ロビンの隣に。
「ヒューー」