その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


こういう時の謙人は、本当に面倒くさい。
特に健太郎に関しては、ロビンに夢中になっていく過程がたまらないらしい。
そんな健太郎を見て、ロビンのいい女っぷりが分かるのだとしみじみ話してた。


「明智君のギャップに俺の方が惚れそうだよ」


本当、どうでもいい。
健太郎は謙人の事は軽くスルーする。

それでもロビンはこっちを向いてくれなかった。
ミアと謙人の方へ体を向けたままだ。
健太郎はいい加減馬鹿らしくなってきて、椅子にもたれて一人でスマホをいじり始める。

さすがの謙人もそんな健太郎を見てため息をつく。
謙人にしてみれば健太郎は恋愛初心者であって、でも、だからこその魅力がある。
特に、穏やかなキャラのはずの明智君が、猛獣に変身するなんて最高じゃないか。
ロビンなのか明智君なのか、謙人にとって興味がある人間が多過ぎて楽しくてしょうがなかった。


時間はあっという間に過ぎて、ミアはお店へ出勤する時間になった。
謙人がお開きの合図をすると、ミアはベトナム語でロビンに話し始める。
それも早口でそれも小さな声で。
謙人はお店の人と談笑している。
健太郎は聞こえないふりをしながら、ロビンとミアの会話をそっと聞いていた。


< 93 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop