その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
それは、きっと、自分の運命を自分で切り開けないジレンマからきているもの。
ずっと他人に操られていた日々から自由になったと思っていた。
自由になったと思っていたけれど、これはケンのシナリオの世界だった。
でも、ケンのいるこの世界こそが、今の私には自由な世界なのかもしれないけれど…
「ケンは…
私を救ったと思ってる?」
ロビンはまだ窓を見つめている。
ケンがどんな表情をしているのか知るのが怖い。
すると、ケンはロビンに寄りかかってロビンの肩にそっと頭を置いた。
そして、寂しそうな子猫のように、小さくため息をつく。
「救われたのは、僕だよ…」
タクシーは細い路地に入って行く。
健太郎のマンションはもうすぐだ。