想い出
一方で、僕は自分を見失う一方だった。

自分がどんな人だったのか、どんな人が周りにいたのか。

彼女の話を聞くと、自分が消えていった。

物にも触れない、他の人にも気づかれることもなければ、触れることもできない。

けれど、不思議なことに彼女には触れることも、話すこともできる。

きっと、これが僕の使命なのだろう。

そう思いながらも、この不自由さと何もわからないという恐怖心で僕の苛立ちは日に日に増していくばかりだった。
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