想い出
 ある日、彼女が連れていきたい場所があると僕を外に連れ出した。

外に出ることを恐れていた僕には、恐怖をより積もらせるようにしかとらえられなかった。

彼女が僕の前を歩き、僕はそれにふらふらとついていくことしかできなかった。

「着いたー。さあ、行こう」

 彼女は一言だけ僕に告げると、手をひいて公園のような場所を歩き始めた。

そこは、見覚えのある場所だった。

大きな木が風になびいて木々の葉が乾いた音を響かせる。

小さな草花が足をくすぐるかのように包み込んでくる。

最初に僕がいたあの場所だった。
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