想い出
 息を切らして、体ももう追いつかなくなった頃、一つの小さな広場にたどり着いた。

そこにはベンチが二つほどあり、他にあるものといえば植物くらいだった。

片方のベンチに僕は腰を下ろした。

見えるもの全てが怖い。

そんな感覚だった。

漠然とする頭の中で、一つだけわかったのは、僕が人間としてではない存在だということ。
それだけだった。

頭を抱えた。それでも何も変わらないのはわかりきったことだ。

それでも、胸の窮屈さを感じないようにするにはそれしかなかった。
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