【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「生憎俺は、片割れと呼ばれるほど綺麗な顔してないんでね」
ええ……それはそれはかなり強面ですものね、とは言わなかった。
「じゃあ、違う人のことなんだね……」
それも、白坂くんのように綺麗な顔立ちのとびきりのイケメン。
「ああ。凪の逃亡生活も終わりにしてやりてぇけど、剣崎の怒りが鎮まらない限り、一筋縄ではいかねぇだろう」
「どうして、そこまでして白坂くんに謝らせたいんだろう……」
「それは凪が剣崎の腕をへし折ったからだ」
そうだ……昨日、男達も言っていた。
「まあ、凪いわく、あれは剣崎が暴れたはずみでポキッといっちまったらしいから、自業自得だろう」
……ポキッて。
「ただ剣崎の親父は極道の人間で、息子の剣崎には族だの喧嘩だの好き勝手やらせてる。だが凪に面子を潰されたあと、相当その親父にしぼられたみてえだぞ」
「な、なるほど……」
「年下のガキに無様な目にあわされて、さらには親父の耳に入ったもんだから、剣崎は凪をより一層恨んでるってわけだ」
「そ、そういう人達の世界って、体裁が大事というか……なんか、テレビで見た気がする……」
「まあ、そういうことだ。これ以上話すと凪にシメられるからここまでにしておく」